私は 彼をそこまで追い詰めていた?

マスターの言葉が脳裏をよぎった・・・・

【あいつは 愛に対しては 繊細でもろい・・・・・】

「帰っていいよ。明日も仕事だろ?」

「帰らない・・・・・」

「なんで? あっ・・・・大丈夫だよ。」

【うそ・・・・・なわけないくせに・・・・・】

「おなか すいたね・・・・・ご飯一緒に食べに行かない?あっ・・・・
 スクープされちゃうか・・・・」
【って・・・・どうして こんな時に・・・気の利いた台詞でてこないんだろ】

「いこう・・・・例のラーメン屋さんがいいな・・・・ここからも近いし」
 
「でも・・・・」

「誘っておいてなんだよ。 最後の晩餐?だろ・・・・ここで帰られるよりは
 耐えられそうだしな・・・・」

「うそつき・・・・・」

「うそでもつかないとカッコつかないじゃん・・・・」

あいつがそう言って 寂しそうに微笑んだ。

駄目だ・・・・・私の理性があいつの寂しげな微笑でぶっ飛んだ。

思わずあいつを抱きしめた。

「ユ・・・・由真さん?」

「まだ・・・まだ あんたのこと 好きなの・・・・嘘ついてるのは
 私の方・・・・このまま 別れたら・・・・私のほうが 平気じゃいられないよ」

「えっ・・・・」

「臆病なの・・・・だって あんたは・・・・大出旬の周りには 競演の女優さんや
 素敵なファンやらで、輝いてる人が沢山いるから・・・・いつ 捨てられるか
 怖いの・・・・・あの日も 朝刊を見て そう思ったの・・・・
 そう思った 自分の自信のなさが たまらなく嫌だった・・・・」


「ごめん・・・・」


「ううん・・・・」

 首を横に振った私を見て あいつが枕元においてある 小物入れから

 小箱を取り出した。

「はい・・・・契約書。」

「えっ?契約書?」

「あけてみて・・・・」

そう言われて開けると中には ペアリングと折りたたんだ紙が入っていた。


紙を開くと いきなり飛び込んできた「陰性」の文字・・・・


「これ・・・・」

「エイズの診断書・・・・」

【まさか 本当に 検査うけたんですか・・・・・( ̄Д ̄;;】