一人にするわけにもいかない・・・・

夜になって あいつが目を覚ました。

「えっ・・・・・由真さん?」

「じゃなきゃ 誰に見えるよ。」

「・・・・・」

「私に会えないぐらいで 頼むよ 命粗末にすんなって・・・・」

「俺にとって あんたは ぐらいな女じゃないんだ・・・・」

「どんな 女なんだよ。」

「命の恩人・・・・だろ?」

【知ってるのか・・・・こいつ・・・・】

「俺と同じ日にさ・・・白血病で 娘さんから骨髄移植をした おふくろさんがいたんだ
 肉親からの 骨髄移植だったのに・・・死んだんだ・・・・その人・・・・
 それに引き換え 俺は 骨髄バンクだぜ・・・・まったくの他人から移植してもらった
 のに 病気・・・・治ったんだぜ・・・・娘さんがさ・・・特別な人からの移植だった
 んでしょうね・・・・って・・・・俺に言ったんだ・・・・」

「そこまでして 助けてもらった 命ならなんで粗末にするん?」

「そこまでして 助けてくれたのに なんで俺のこと捨てる?もう 嫌なんだ
 愛情から見放されるの・・・・怖いし・・・・悲しいし・・・辛いし・・・」

「捨ててなんかぁ・・・・」

「いいよ・・・無理しなくても・・・・・わかっていたし・・・・」

「ごめん・・・・」

「なんで謝るの?」

「悪いのは私・・・・」

「えっ?・・・・」

「私が あんたの事を 信じられなかった・・・・そんな 奴に 
 俳優の 大出 旬を愛せると思う?」

「・・・・・」

「私には 自信がない・・・・」

「俺が 俳優だから?」

「そうね・・・・」

「なら・・・俺は 俳優業を辞めるよ。」

「それはいけない。あんたの事を心の支えにしている人達がいっぱいいる。」

「俺自身の心の支えはどうなるの・・・・俺は 愛する事を許されない?
 俺は 孤独じゃなきゃいけないのか?俺は あんたが思うほど 強くない
 ・・・愛する事を 許されないなら・・・・俺が愛した女が苦しむなら
 俺は この世に生きている価値がないじゃん。」