「どうか…したの??」










うつろな瞳で私を見ながら、頬杖をつき、ため息をついた。











「あんたはいいわよね〜、遊んでればいいんだから。」













「……え??」













「好きなだけ男作って、あっちでこっちで、イチャイチャしてりゃー、いいんだもんね〜。」












「男をあちこちに作ってんのは、お母さんじゃないっ!!!!」










持っていたビール瓶を床に たたきつけた。音をたてて割れた瓶の破片が飛び散り、残っていたビールが床に染みを作っていた。












…堪えられなかった。私が寂しい思いをしてるのは、誰のせい…??
仕事以外でたくさんの男と会って、次の日まで帰ってこないのは、誰のせいなの……??











ぱしんっ












次に静寂を破ったのは、母が私の頬をたたいた音だった。













「こっちはあんたのために働いてんのよっ!!!!…ホント、こんなことになるなら、生まなきゃよかったっ!!!」












はたかれて赤くなった頬をさすり、母と向き合った。
今でも思う。
このとき、母を見なきゃよかった。でも、このときの私は、母を憎む気持ちでいっぱいだったから、精一杯の気持ちで母を睨んでやりたかった。








…でも、母の目は、私が思っていたような気持ちをたたえてはいないようだった。
ただ、目を見開き、しわを刻んだ目尻にうっすらと涙を浮かべ、口を抑えているだけだったのだから…。