「ただいま。」







私はふう、とため息をついた。家のなかは真っ暗。いつも通りなのに、なんだか今日は悲しかった。









ガタガタッ







「!!??」








え…??誰もいないはず…。だって、電気も点いてないのに……。










私は真っ暗なリビングのドアを開けると、ぼうっと暗闇に人影が浮き出た。
私はそれが誰だかすぐに分かった。











「お母…さん??」












呼ばれた母はこちらを向いた。電気で照らされた母は、眩しそうに目を細め、赤い顔をしていた。…だいぶ酔っているようだ。










私は何も言わず、いつものように、机に並んだ空き缶とビール瓶を片付け始めた。






母の視線が突き刺さる。いつもは、こうやって母が呑んでる横で片付けを始めても、私を見たりはしなかった。




私はこの視線に耐え切れなかった。