街灯だけが、道路を照らしている道を私は一人で歩いていた。立ち並ぶ家々は明かりを灯している。時間は8時。夕食時か、片づけて家族団らんの時間だろう。










それを見ている私の目はきっと恨めしいヤな目をしているんだろうな。私は目を激しくこすり、また視線を道路に移した。






……………あれ??ウチの電気……点いてる。








私は無意識に速まる足を抑えようとしたが、抑えがきかない。だってっ、だってっ………!!!








家の前に着いて、その事実がハッキリとわかった。隣の家の明かりと見間違えたとか、そんな
んじゃなかった。確かに、ウチの明かりが点いている。






ドキドキしながら家のドアを開ける。こんなに緊張しながら家に入る子なんて、ほかにいないだろう。そんなことを思ってちょっと笑った。







「た、ただいまぁ~……。」





靴を揃えて家に入る。明かりがついた台所へ行くと、そこには母がいた。片手にタバコ、片づけていたテーブルには日本酒やらビールやらのびんと空き缶が転がっていた。仕事着のドレスをまとったままの母は私を見て、組んでいた足を組み換え、白い息を大量にはきだした。