「今日は雨か」

露は嫌いだ。

ジメジメするし、暑いし。

雨は憂鬱な気分になる。

「よし、行くか」

安っぽいビニール傘をさしながら、学校へ向かった。

『なんだ?アレ』

ふと見上げると、歩道橋の上に女の子がいた。

『傘もささずに、なにしてんだ?』

そんなことを思いながら、通学路であるそこに向かった。

階段を上り、女の子の横を通り過ぎようとした時、その子と目があった。

その目には、未来も希望も光でさえも感じられなかった。

色を失った目。

はっきりとそう思った。



一瞬目があった。ただそれだけだった。

なのに、俺はその目が忘れられなかった。