一気に言って柳はにぱっと笑った。
柳は整った顔に似合わず、結構豪快に笑うから。笑顔がひどく幼くて。


「……悪い。夏は撮りたいものはまだなんだけど、撮りたい人は決まってるんだ」

「それって、とーこ先生?」

「まだオッケー貰ってないけどな」


柳はきれいな二重の目を面白くなさそうに眇めて、「とーこ先生、ずるい」と言う。

その言いようがふてくされた子どもみたいで、俺は柳の黒髪を撫でた。

学生にふさわしい漆黒の髪の毛は艶やかで、腰の辺りまできれいに伸びていて、それは元々きれいな造作の柳をさらにきれいに見せている。