あたしはふいに涙が出そうになって、あわてて笑顔を作った。

その間もじっと片瀬くんの瞳はあたしを見つめていて。
きついくせにどこかやさしい光を灯すそれからはきっと、あたしは逃げられないんだろうなと思う。

あたしは何とか小さな声で、約束するねと呟いた。

片瀬くんは、嬉しそうに笑って、ついばむような軽いキスをした。
玄関から出てその後姿が小さくなるところまで見送って、あたしの胸はつきんと痛んだ。


きっと、あたしも片瀬くんも少なくとも後半年は会わないだろうと思う。
そしてたぶん、連絡も取らない。

それが変な始まり方をしてしまったあたしたちの関係のけじめだと、片瀬くんは思っているに違いなくて。