「やっぱり、とーこちゃんってなんか可愛いよな」


一生懸命夏目漱石のこころの解説をしているとーこちゃんを見ながら、隣の席の米倉が囁いた。

中学時代からの悪友のこいつは、そういや俺が4月に学級委員長に指名されたときも、とーこちゃんとたくさん話せるって羨ましがってたっけ。


午後の眩しい太陽の光を集めながら、黒板を時折指差しつつ教科書を朗読しているとーこちゃんは、まさしく先生だ。

それもまだ初々しい感じのやる気に満ち溢れているような、そんな感じ。