ふと振り向けば片瀬くんが写真たてを凝視していて。

あたしはわざと少し大きめの音を立てて、片瀬くんの前にマグカップを置いて、そのまま正面に腰を降ろした。


「……気になる?」

「―――ごめん。実は少しだけ、先生のこと朋兄に聞いたんだ。詳しくは教えてはくれなかったんだけど……。この人が、ミナトさん?」


今度はあたしが少し驚く番だった。
朋久先輩があの話を片瀬くんにするなんて。
嫌な気持ちではなかったけど、意外だとは思う。

そうだよと頷くあたしに、片瀬くんは優しそうな人だねと言った。