風邪をひくからと嫌がる片瀬くんをむりやりお風呂場に押し込んで、あたしは少しだけ部屋の中を片付けた。

ベッドの飾り棚の上で伏せられたままの写真たてをどうするか迷って、結局あたしはそれを丸テーブルに置くことにする。

どうせ、片瀬くんはもうあたしの脚に刻まれた所有印も知っているんだし。
片瀬くんには、聞く権利はあるだろうと思った。

それならせめて、聞きやすい状況ぐらいは作ってあげないと。
他にもいろいろと、話はあるんだろうけれど、あたしの始まりは間違いなくこれなのだから。


そして、不思議にあたしは片瀬くんなら聞いてもらっても良いと、そう思った。