「俺が抱いたから、先生は先生を辞めるの?学校からいなくなる?」


やっぱりか。
あたしはそっと手を伸ばして片瀬くんの顔に手を添えて視線を合わせた。

抱きしめられたまま近くで見る片瀬くんの瞳には、雨だけじゃない雫が光っていて。
あたしはそれを掌でそっとぬぐった。


「ごめんなさい。先生。
――俺が、子どもだから先生のことをしっかり考えれてなくて、だから先生が――」

「片瀬くん」

「……先生」