大き目のタオルを頭からかけても、片瀬くんは何の反応も見せなくて。
落ち込んでるなぁと思いながら、あたしはどう言えばいいのかやっぱり分からないままで。

わしゃわしゃととりあえず片瀬くんの髪の毛をタオルで包み込んだ。


「片瀬くんの髪の毛って、結構ねこっけだよね。細くてきれい」

「……」

「片瀬くん?」


濡れた腕に抱きしめられて背中が冷たいと思った。
片瀬くんから落ちてくる水滴があたしの肩を濡らしていく。

先生、と振り絞るような声で片瀬くんはあたしを呼んだ。