食卓代わりでもあり、化粧台でもある小さな丸テーブルの前に腰をおろして、あたしは携帯電話を開いてまた閉じた。
片瀬くんに連絡を取ってあげないとなぁと思うんだけど、どういえば良いのか良く分からない。
ピンポンとチャイムが鳴ってあたしははっと立ち上がった。
片瀬くんかもしれないと反射的に思って、インターホンをとる。
画面越しに映っていたのは、ずぶぬれの片瀬くんだった。
玄関までやってきた片瀬くんは俯いたまま、中々あがりこもうとしなかった。
濡れそぼった髪の毛から雫が落ちて、それはまるで泣いているみたいに見える。
「早く拭かないと、風邪ひくよ」