俺はその扉を思いっきり蹴飛ばした。
当たり前に蹴飛ばしただけぢゃ扉は開かなくて―…。
金属の鎖がかかった鍵を思いっきり殴った
鈍い音がして俺の拳から血が垂れてくる。
ドアが開くとすぐ廊下に俺はしゃがみこんだ。
「座れよ」
俺は夕美の腕を引っ張ってしゃがませた。
夕美はまだ泣いてる。
何で泣くんだよ――?
今まで見てきたなかの"ヤンキーの女"はこういう場面が慣れてるのか泣いた女なんて一度もなかった。
「泣くなって―…」
俺はそう言って夕美の涙を袖で拭き取った
血のついてない左手の袖で。
「なんで青夢はそんなに優しいの―?」
やっと口を開いたと思ったら何を言い出すねん。
「優しくなんかねぇよ…」
「嘘だ、優しいよ…」
「人は好きな人の前では優しくなるもんなんだよ、多分」
「あのね―…、青夢…」
夕美は下を向いて話出した。
「ん――…。」
「何も言わないで訊いてくれる――…?」
「うん、言ってみ?」
夕美は下を向いたまま最初から今までのことすべて話してくれた。