「初めまして、秋野川夕美です。」


あたしは転校初日目、ヤンキーのフリをして自己紹介をした。


田舎の学校のみんな、先生や生徒達は相当ビビってた。



「うわーん、怖いよぉ。またヤンキーだぁ…。」


泣きそうな顔をして呟いたのは黒髪でおさげの女の子。



『また』って何―…?



「もしかして瀧さんの連れじゃ―…」

とまた誰かが呟く。


『瀧(タキ)』―…?


その人もヤンキーなの?!





あのときの感情がまた溢れ出す。

ヤンキーが怖いのはあたしもだよ、おさげチャン。

だからあたしはもういぢめられたくなくてヤンキーデビューしたんだ。


心はまだあのときのまま―…。




「秋…野川さん…、席あそこです。」


と先生。


すんごいギクシャクしてる・・・。
変に避けられるとこっちも困るんだけど―…。


あたしは先生が指差した席に歩く。


金髪の髪がさらっと揺れた。


制服の背中には『喧嘩上等』って書いてた。
もちろん上等じゃないです、ハイ。



席まで歩こうとするとあたしが通ったところをドミノのようにみんなが頭をさげる。






あたしの方がびびった。
こんなの初めてだし。