陽介と浩次、そして浩次の恋人

である綾は仲のいい友人だった。




だがある日。



綾には好きな人ができた。

彼女はその相手に想いを伝えた

のだが、あえなく玉砕し、その

泣き言を延々と浩次は聞かされ

ることになったのだ。

それが切欠で、彼ら二人は、少

しだけ距離が縮まり2年の歳月

を経て、現在のような関係が出

来上がったのだった。

何故あのとき、陽介には泣き言

を言わなかったのか。

綾曰く、陽介はそういう話を聞

いてくれそうにないし、興味が

なさそうだから。

変わって浩次はそういった話の

似合いそうな容姿をしていたの

だ。

その所為もあるのだろう。





確かに陽介は地味だ。浩次のよ

うな華やかさはない。

だが、身長は170以上あるし

浩次に及ばないにしても平均並

だと自負している。

かたや浩次は長身に眉目秀麗な

男であった。

そんな二人だが、二人とも根が

真面目でそこに共通点を見出し

たのか、小学校からの付き合い

が現在大学まで続いているのだ

った。




 綾と浩次が恋人の関係になる

ことに対し、陽介は二人が幸せ

と感じているのならそれでいい

んじゃないだろうか、と考えた

のだ。

彼ら二人が恋人という関係にな

ったからといってギクシャクす

るような安っぽい間柄ではない

し、彼らは友情を蔑ろにするよ

うな人物たちでもない。



 ただ、陽介には引っかかるこ

とがひとつだけあった。



 それだけが、陽介を彼ら二人

から遠ざけることとなっている

のだ。