「一応、聞いておくけど
もし…できなかったら?」

玄関に向かう冴子の背中に向かって質問を投げた

「それはどういう理由で?
アナタが直前で意気地をなくした場合?
それとも生理になって、できなくなった場合?
まあ、生理でもやろうと思えばできなくないけど…
あとは、ちゃんと実行したけど…聖一郎さんがアナタに欲情しなかった場合?」

「まあ…その全て…」

「そうね
アナタの責任でできなかった場合、再度挑戦してもらうわ
聖一郎さんが欲情しなかった場合は、新たな作戦を練りましょうか?」

練らなくて良いです!

「あの……ったいのはちょっと…」

「え?」

ハイヒールを履き終わった冴子が、顔をあげて聞き返した

「だから…ったいのは…」

「はっきり言ってよ」

「痛いんですよね…最初って」

冴子がニヤリと微笑んだ

「人それぞれよ
ま、経験してみないとわからないから」

冴子がぽんぽんと私の肩を叩くと、『頑張って』と意味ありげに笑って家を出ていった

…頑張れって

何を?

無理です

頑張れません…