「ふん、始まったわね」

俺は口の端を持ち上げると、ソファに座って足を組んだ

聖一郎さんの部屋から、愛子の悲鳴…というか雄たけびと同時に激しい物音が聞こえてくる

『いやあ、痛いのは嫌だって言ってるでしょ!』

『…って私はお腹が減ってるの』

『ご飯! お腹の音だって…ほら、聞こえてるでしょ』

「愛子……?」

人、一人分開いて隣に座っている藤城竜之介ががっくりと頭を落とした

「笑いたいなら我慢せずに笑ういいわ」

『やだぁ! 野獣がここにいまーす』

『野獣…珍獣…猛獣』

「笑いたいって言うより、心配です」

「何が?」

「嫌がってるのに」