なんか…どんどんと墓穴を掘っているような気がするのは私だけ?

「メール、見てないんですか?」

「メール?」

私は首を傾げた

「僕はメールしましたよ?
朝は急いでて朝食の用意を忘れたけど、お昼には必ず戻ります、と」

「へ? そうなの?」

有栖川がふぅっとため息をついた

「いや…てっきり夜まで来ないかと思ってたから
家に訪ねてきた竜ちゃんになんか食べモノを買ってきて…って頼んじゃった」

あはは…と乾いた笑いで、私はその場を明るくしようとした

「家に訪ねてきた…ねえ」

有栖川の目が細くなる

え?

だって、訪ねてきたんだもん

そういえば、なんか必死に謝ってたけど…なんで謝ってたんだ?

「愛子さん、僕だって男ですよ?」

「はあ…」

私は身の危険を感じた

なんか…ヤバい

そんな気がする

だって有栖川の目が…『男』だ

いや…違うな

『野獣』

それも肉食獣!

獲物を狙ってる…って感じの

空腹なのは私だってばっ!

居間にある食事を狙ってるのは私なのよっ!