「飯島さん?」

「きちんとわかってくれますわ…たぶん
身体のコリが激しくて、ハリ治療の最中だったって…きっと、ねえ」

飯島さんが苦笑する

僕…きっとわかってくれない気がするんですけど

こんなに愛子さんが泣いてて…ハリ治療の話をしてるなんて聞いてないだろうし

「大丈夫ですよ
聖一郎さんの体を見れば…納得しますよ」

「見れば…でしょ?」

「今なら、絶対イケます!
今夜は素晴らしい夜に…」

「前もそんなようなセリフを聞いて、仕事に邪魔された気がするんですけど?」

「あ…あれは…お二人とも行動を起こすの遅いからです」

飯島さんの視線がまたさまよった

ふうん

あの夜も、飯島さんが噛んでるんだ

じゃなきゃ、愛子さんが僕の部屋に来るはずないか…

「今夜はまだ時間がありますから
寝ずに頑張れば…ねえ」

「頑張れば…ねえ」

僕は飯島さんの言葉を繰り返した

そう簡単にいかないと思いますよ

まずはなぜ泣いているのかと、聞かないとでしょ?

愛子さんがこんな風に泣くなんて……