トマト事件から数日が経って
あたしと先生の生活も少しだけ変わった気がする。
「・・・・」
「・・・・」
まぁ、この会話のない食事は相変わらずだけど。
前よりも気まずさや居心地の悪さは感じなくなったと思う。
初めは同居に反対していたけど
慣れてしまえば別になんて事なかった。
・・本当、慣れって恐ろしい。
そしてあたし自身が一番驚いているのは
前より最低とか薄情者とか
そういうふうには思わなくなった事。
きっとこの人は
この人なりに
色々考えていると思う。
そう思うようになった。
実際に近くにいないと
分からない事もあるんだよね。
一見クールに見える先生だって
あたしの知らないところでたくさん苦労してきた。
たくさん傷ついた。
そして分かった事が一つ。
人の人格を変えてしまうくらい
家族って本当に大切なものだということ。
先生は一体どんな気持ちでお母さんを待っていたんだろう?