「明日からの冬休み、何して過ごす?」
眠くなりそうな終業式を何とか終えて教室に戻ると、
唯が楽しそうな顔をしてそう聞いてきた。
「冬休み・・ね」
明日から冬休み。
高校生活最後の冬休み。
みんなたくさん楽しい思い出を作りたいんだろう。
教室ではクラスメイトがあちこちで冬休みの予定を喋ってる。
「あたし、彼と旅行行くんだ」
楽しそうな声もあれば
「今日こそ合コンで彼女ゲットしようぜ!」
勢いのある声。
「ねぇ花?」
あたしには
きっと楽しい冬休みなんて待ってない。
「花ちゃん?」
「あぁ、ごめん」
申し訳なさそうに手を合わせて謝ると
もう、しょうがないなぁ
唯が呆れた声を出してあたしの肩を叩く。
「花は今先生の事で頭いっぱいなんだって」
からかうような声。
唯達は知らない。
先生が三学期からいなくなることを。
あたしの前から消える事も。