「あの女は、母親だ」


先生はしっかりと


だけどどこか怯えたような声で


そう囁いた。





母親・・

どうして今更

「先生に会いに来たんですか」
「分からない。向こうはずっと俺を探していたみたいだが」


やっぱりお母さん・・なのかな


「良かった・・ですね、お母さん見つかって」

「俺には・・必要ない」


冷たい言葉。


そう・・だよね


ずっと先生を待たせておいて

今更そんなの都合が良すぎる話だ。


「・・暫く・・こうしていてくれないか」


お母さんが見つかった事よりも

先生があたしをこうして抱きしめてくれてる事の方が嬉しくて



その時は気付かなかった。



先生が本当はどうしたいのかなんて・・