だって一緒に住んで数カ月。

先生は今まで一度もこういった事をしてくれたことがなかった。


まぁ・・その前にあたしがやってたんだけど・・


「お前は少し太れ」
「は?」


いきなり何を言うかと思ったら・・


「太れって・・」


一体どういうつもり?


「とにかく食え」

「は、はい」


言われるがままに箸を掴んで玉子焼きに手をつける。


「・・あ、美味しい」


家はいつもお砂糖を使った甘い玉子焼きだけど。

先生の手作りはお出汁と多分お塩か醤油が入った
ちょっとしょっぱい玉子焼き。


いつもとは味が違うけど

でも・・悪くない

「この味付けって」
「俺は幼い頃は関西にいた」


珍しく返ってきた答えに少し驚きながらも箸は止めない。

「そうなんですね・・」

そのわりには関西弁じゃないよね

「俺は親に捨てられた」

知ってます・・


「それからだ、人を信じるのが怖くなった」

・・・

「でも、今は・・」

「今は少し違う」


「え?」

それは一体どういう

「それはお前のせいかもしれない」