おはようの挨拶も昨日の事も何もナシに
あたしを見て開口一番その言葉。
パリッとクリーニングから下ろしたての真っ白のワイシャツに
紺のスーツのズボン。
・・・それに
ママのフリフリのレースが沢山ついたエプロン?
「ぷっ」
あまりにも似合わな過ぎて思わず吹いてしまう。
「何だ」
多分あたしが何で笑っているかなんて
この人は全く知らないと思う。
だってフリフリのエプロン着ても
全然恥ずかしそうな顔してないから。
「べ、別に、何でもないです」
必死に笑いをこらえて席に着く。
そう言えばあたし達、昨日喧嘩したままだったよね。
でもお味噌汁の美味しそうな匂いが怒りを収めてしまう。
いつからこんなに単純になったのよ
テーブルの上には
綺麗な黄色の卵焼きと焼き鮭、それにほうれん草のお味噌汁。
「おいしそ~」
純和風の朝ごはん。
・・でもあれ?
「何でご飯作ってくれたんですか」