その一時間後

なんとか準備を終えて学校に着くと

「おっはよ~ん」

同級生の菊池に声をかけられた。


「おはよ」
「今日の英語の宿題、俺からなんだけど。お前やってる?」


キリっとした瞳が印象的な顔立ちで


去年からあたしと同じクラス

しかも今は隣の席の菊池弘毅は

入学した時から仲がいい。


「当たり前。いくら来年エスカレーターでいけるって言ったって
やることはきちんとやらなきゃね」


これはママの友達、ユウさんの言葉でもある。


「良く言うよな。数学は駄目なくせに」
「うるさい、ほっといてよ」


理数系が得意な菊池と
文系が得意なあたしは

いつも協力して宿題をこなしている。


お互い何が苦手で
何が好きか

良く理解できているから

クラスのどの子よりも仲が良がいい。


よく男女の友情なんてありえないって言う人がいるけど。



あたしと菊池は何があっても友達って言える。



だって

「昨日さ、梨菜がさぁ~~」

コイツはひとつ年下の彼女にゾッコンだから。