嘘は付きたくないけど


でも

それでも


これだけは言えなくて。


でも


「花。嘘はよくないよ?」


ママがあたしの事を優しく抱きしめて


「いいのよ、無理しなくても」


耳元で優しく囁く。


「ごめん・・なさい」


出来ればこの気持ちに気付きたくはなかった。


先生を想うこの気持ちを消すことが出来たら


どんなにいいことなんだろうって


でもママは笑顔で


「花に好きな人が出来て、嬉しいの」


さっきよりも強くあたしを抱きしめる。


「でも先生を好きになっちゃいけないんじゃないの?」

「本当はね。実は黒崎先生ね、大学は奨学金で行ったの。」

「え?」

「教師になることと引き換えに奨学金を免除してもらってるのよ」


知らなかった


「彼にとって教職が全てなの」


初めて知る先生の事。


「生徒と教師が恋に落ちてはいけないとは言えないわ。
実際にそういう人は沢山いるしね。」


「だけど、そう思っていない人がいるのもまた事実」


「もし生徒と関係を持ってそれが学校にバレてしまえば
彼は全てを失ってしまうのよ」