「じゃ、『何の用かはわかってる』って……?」

安藤が遠慮がちに言った。

「本当に知らないんですか?」

テリーは目を真ん丸にした。

「何なの?」

俺は迫って聞いた。

「ライフプラネットが無くなる……」

「えっ?」

一瞬、聞き間違えたのかと思った。

「ですから、『ライフプラネットが消される』んです!」

テリーの目は必死だった。

さっきの生意気さはどこへ行ってしまったのやら……。

「だ……誰に?」

俺はなんとか声を出した。

「タムヒヘカセマガル……。」

「誰?」

「中国に来たライフプラネット人ですよ。」

「はっ?」

『バカじゃねぇの?』……思わずそう叫びたくなったが、
なぜかそれは無理だった。

「ライフプラネットが消されたらどうなるか、
知っててか?」

「らしいです。本能に従って……。」

「早く止めなきゃマズイじゃんか!

んなことされたら……俺達死んじまう!」

言ってしまった。

口に出してはいけないような気がしてたのに。

「『死ぬ』っ?」

安藤が立ち上がって大声を出した。

食堂には誰もいなかったのが幸い……。

「あぁ。

俺らは、ライフプラネットから来る『アタヌレサ』っつぅ指令の元で生きてるんだ。

ライフプラネットが無くなれば、
寿命に関係無く、ライフプラネット人は絶滅する。

どこの星に住んでいても……。」

全く。

テリーもタムヒヘカセマガルも度が過ぎてる。

未来にいたずら(まぁ、今回はそれが結果的にはプラスになったけど)なんて、悪質だ。

またそれ以上に、
ライフプラネットを消すだなんて、
もう声も出なくなる。

そんなんに比べれば、
俺のやってきたいたずらなんてたいしたことないじゃないか。