「藤野があたしを好きになってくれますように。」

……えっ?

マジ?

「……何も起きないね。」

安藤は真面目に首を傾げた。


……ったく……。

俺はため息が出た。

「言い忘れてたのが悪かったよ。

そのケータイで生物の気持ちを変えたり、
自分以外の生物の一生を操ることはできない。」

……。

「えぇ?

つまんない……。

『できないこと』ってそういうことか……。」

あぁ。『そういうこと』です。


普通、最初は『りんごが目の前に現れますように』とかいう無難なのにすると思うけどな。


まぁ、これで安藤の性格が良くわかった。

いいだろう。

このくらい思い切ったことを無意識にやってみせるくらいの奴で。