「藤野~」

「はぁい。」

国語テスト返却。

「何点だった?」

コイっちぃ(小出龍一っていう、俺の親友)に聞かれた。

「見て驚くなよ? マジ神だから!」

俺は解答用紙を広げた。

「おぉ!

おまえにしてはすげーじゃんか。」

「やっぱ?

おまえは?」

「さりげ満点!」

「はぁぁぁ?

カンニングじゃねぇの?」

「んなわけねぇだろ!」

いやぁ。

今回頑張ったんだけどなぁ。

もちろん、あのケータイは使ってないし。

でもやっぱコイっちぃには勝てねぇや。

「こら藤野! 席着くよぉ。」

国語担当の先生にノートで頭を叩かれて、
俺はしぶしぶ席に着いた。

「今回の満点は学年で三人いますね。

お!

三人ともこのクラスだ。

よく頑張りました。」

『三人』……想像はついている。

どうせ、小倉と絵里とコイっちぃだ。

「平均は五十六点。

ちょっと低めですね。」

ご、五十六で低め?

じゃぁ、それマイナス二十一の俺って……
かなりヤバイような気がする。

「はぁ……」

俺は深めのため息をついた。