親父の口ぶりからして、俺は本当に結婚したんだろう………という事は婚姻届は偽造したという事になる。





「わかった…離婚はしない。」


「明日から相手の家に住め。もう話してある。荷物も明日の夕方には届くはずだ。結婚したんだから家庭の事は相手と話し合って決めろ。」





名前も顔も年齢も知らない女と二人で生活し、生涯を共にする――――。





家事・掃除なんか俺は出来ないし、ましてや好きでもない女をこれから先、愛する事だって絶対にない。





「名前は?写真とかねぇの?」


「名前も顔も明日わかるからいいじゃないか。」





それもそうだが、萎えるような女だったら家にだって帰りたくない。





「これが鍵だ。コルトマンション分かるだろ?そこの最上階が家だ。最上階全部が敷地になってる。」





コルトマンションって億ションって呼ばれてる……だったら相手は金持ちか―――。





女社長ってやつか、甘やかされたバカな令嬢のどっちかだな。