「お父様、大河もあちらのソファーに座ってて下さい。お茶をお持ちしますね。」


「いや〜、すまんね。」





女はキッチンに行き、俺は親父に引っ張られリビングにあるソファーに腰を下ろす。




「なんで親父がいるんだよ。」


「改めて挨拶に来たんだよ。」





もう、最初から最後まで聞かなくてもわかってしまった。





お茶を持って来た女を見れば昨日見た顔。





俺は紫の目を持つ女なんて一人しか知らない。





昨日、バーに行き助けられ、見惚れ体を何度も重ね合った女がいた………漸く、顔も名前も思い出した。





「小野寺、梨珠……。」





名字が偶然だと思ったが違う………コイツは俺の奥さんだ。





「騙したのか?」


「人聞きの悪い事言わないでよ。あなたが私に引っ掛かったんでしょ?」





学校で見た態度と全く違っていた。





「昨日は何度も私を求めたくせに……酷い人ね。」





ニヤリと笑った顔に、俺は何も言えなくなってしまった。