「私にプロポーズした後、すぐに離婚してくれって奥さんに言ったんだって。」


「あなたを本気で好きになったのね。」


「本気で好きになられても困る。好きって…ふふっ。くだらない。あの男、永遠の愛を誓った女がいるのに別の女を好きになるなんて。」





この女はさっきの修羅場の原因になったやつだとすぐに理解できた。





俺と一緒で特定の人は作らない。




「何か飲む?」


「明日用事があるから、今日はやめとく。」





そう言い、またタバコを吸い始めた。





「何?」


「いや、なんでも。」





見惚れてたとは言えない俺に妖艶な笑みを見せその笑みを深くする。





「見惚れちゃった?」


「…ああ、見惚れた。」





これだけマジマジと見てたら嫌でも分かるだろうに、言わせるなんて性格が悪い。





「また来るわ。」





妖艶な笑みを見せたままの女はタバコを消し席を立って、ママそう告げ出て行く。





スタッフと話してた慎也に先に帰ると告げ、ママにお金を渡す。





女を追い掛けてバーを出ると、すれ違う男が目で追ってる。