「ぷはぁーッ♪ 気持ちぃーッ!!」


浮輪で浮かびながら、朱音を眺めていると、朱音は背泳ぎをしていた。


「詩乃は泳がないの?」

「あぁ、ええ。ちょっと……――。」

「何? もしかして、金づちー?」


ドキィッ…


「えっ…マジィ!? うわ、なんか意外ー!」

「うぅっ…。」


そうよね…。


「大丈夫ッ、私だってそんな泳げるわけじゃないんだし! 35mがやっとだもーん♪」

「…そうなの?」

「うんっ! それに、誰にだって苦手な事くらいあるっしょ♪
逆に、無い方がキモイって!」

「…そうよね!」


朱音の考えが、私、好きかも知れない。
私の周りには、なかなかいないタイプだから…結構新鮮だったりするものね。


「大丈夫、海水だから浮く!」

「本当?」

「…はず。」

「えぇ! 朱音!?」

「あはー☆」


なんてキャーキャーやっていて、私たちに忍び寄る陰に、気付かなかった…。


「よー、彼女☆」

「「!?」」


2人でキャーキャーやっていると、話しかけてきた男2人。


「何? 女2人? 寂しーいねー! 俺らと遊ばない?」


何…? この人たち…。


「おあいにく様ッ! 私たち、彼氏持ちなんでッ!!!」


と朱音が返す。

私が口を開くと、朱音は水中で、そっと私を制した。


「へぇ~、今はぁ~?」