平日の昼間のバイトは、病み付きになりそうに楽しい。
聖子さんとずっと恋愛トークで盛り上がる。
周りに大人の女性ってあまりいないせいか、私は聖子さんと話すことがとても勉強になった。
そして、同じように恋に悩む聖子さんの話を聞いていると、勇気が沸いてくるようだった。
10分に一回、定期的に私達の前を通る牛さんが、私の心を和ませる。
「言えないよね…失うの怖いから…わかるよ、美亜の気持ち。」
その言葉で、泣いてしまいそうだった。
聖子さんは、私と似た恋をしていた。
別れた彼氏と、友達関係を続けている聖子さんは…実はその元彼を友達だなんて一度も思ったことはないんだ。
初めて会ったその日から、今も変わらず元彼『弘人』を愛してる。
堂々と胸を張ってそう言える聖子さんは、とても輝いて見えた。
本当は好きだって叫びたいんだ…
聖子さんの2人の子供にも優しく接してくれる弘人に、本当は甘えたいんだ。
友達のフリして、微妙な距離を保つことに・・・
何度も何度も涙を流した。
本当は、抱きしめて欲しい。
本当は、昔のように…弘人の大きな胸に飛び込みたい・・・
涙がこぼれそうになった時、たまたま通りかかった牛さんが私達の涙を止めてくれた。