翌日、どんよりした曇り空に少しホッとしてる私がいた。
昼までの授業を終え、美菜と牧場へ向かう。
「ねぇ、彼氏いるんだ?美菜…」
バスの激しい揺れが、美菜の声を大きくさせる。
「どぇ~?いないって!!」
前のめりになる美菜の体を支えながら、薬指の指輪を見つめる。
「あ・・・これ? 別れたんだけど、外せなくて…バカだよね。」
美菜は大人びた表情で、窓の外を見てた。
きっと、まだ忘れられない過去の恋を…思い出してる。
誰にでもあるよね…
元気そうに見えても、
幸せそうに見えても…
心の中まではわかんないんだ。
別れた彼氏からもらった指輪を大事にしてる美菜を、また好きになった。
バスの到着を待っていたのは、聖子さんと美菜を前に送った男性。
「橋本さん!!こないだはありがとうございました!!」
さっきまでの切ない顔はどこへやら…
元気いっぱいで、橋本さんという男性に走り寄る。
なんとなくだけどさ・・・
予感がした。
美菜の恋の予感。
こういう勘は結構当たる方なんだ。