ソファが揺れる。


私のドキドキは最高潮に達していた。




私の頭を優しく撫でる隆介の手が止まる。



さっき開けた窓から心地よい冷たい風が部屋に入る。


木製のブラインドの隙間から、静かに私達に吹く風。

2人を包む夜風。




「寒いか?」


隆介の声が私の耳から10センチくらいの距離で聞こえる。

息の温かさまで感じることができて…


私は振り向くことができない。



「ううん…気持ちいいよ。」


私は精一杯平常心を保ちつつ、いつもの声を出す。



「…ふ~ん… じゃあ、もっと気持ちいいことする?」


隆介の声がだんだん近づいてくるのがわかる。


エロいよ…


「何…言ってんの…ばか…」


隆介の方を見ないまま、隆介の体を叩く。


「嘘だって… 今日は、星が出てないから手は出さない。美亜の父ちゃんに隠れて変なことしたら、怒られるから…」



隆介は後ろから、私の体をぎゅっと抱きしめた。



どうして…

あんた、かっこよすぎるよ。


隆介、どこまで私の心を奪うの?





涙…出ちゃう。




バレないように、天井を見上げる私の耳元で言うんだ。



「……ずっとこうしていたいな」



同じこと、考えてたよ。


隆介の口から…そんなセリフが聞けるなんて、夢みたい。


少しずつでも、近付いてるよね。


私達、ゆっくりゆっくり…

愛し合ってるよね。


窓の外からの風が、ブラインドを揺らす。


冷たい風と、隆介のぬくもりでちょうど良い温度を保つ私の体。



もう…


隆介しか見えない。