平日の牧場は、倒産するんじゃないかと心配になるくらい暇だった。
「ぶっちゃけ、ここの担当2人もいらないって思うでしょ?」
聖子さんが、こっそり机の下からアメをくれた。
私はその抹茶飴を口に入れながら、曖昧に笑う。
「でもね、土日すごいんだよ!家族連れのパパが、自分の腕を子供に自慢する為に必死なんだから!!」
そうか・・・
私はお父さんがいないからゴルフにあまり関心ないけど、どこの家にも結構ゴルフバッグが置いてあったりするもんね。
私は、会ったばかりの聖子さんの長い髪に見とれていた。
サラサラとしていて、天使の輪が見えるくらいのツヤ。
私も髪、伸ばそう…なんて考えてた。
「詳しいことはまた今度教えるから、今日は雰囲気だけ感じてくれればいいよ!」
聖子さんは、歩いてきた牛に近付いて頭を撫でる。
私は、まだ怖くて触れることが出来なかった。
「大丈夫、怖くないから…触ってごらん。」
優しい口調と、その話し方に安心感を覚えた。
聖子さんのポケットから見えている携帯電話のストラップに目を奪われた。
はっきりした年齢は聞いていなかった。
だけど、きっと20代半ばくらいだと思う。
携帯のストラップは、私達高校生と変わりないくらいに流行に敏感で、とにかく・・・イケてた。
待受画面を見て、その理由がわかった。
聖子さんは2人の子供のお母さんだと知り、私は聖子さんのお腹をじっと凝視した。
…こんなに細いのに??
赤ちゃん産んでもこのスタイル保てるの???
すごい!!
いいなぁ・・・
私も隆介の赤ちゃん欲しい。