意味不明な鼻歌が聞こえる。
案内してくれた面接室にいたお姉さんは、牛に手を振りながら鼻歌・・・
くるっと振り返り、キラキラした笑顔で握手を求めてくれた。
「初めまして。私、聖子って言います。パターゴルフの担当だからよろしくね。」
優しい話し方と笑顔が、一瞬で私の心を捕らえた。
「こちらこそ…よろしくお願いします!!美亜って呼んで下さい!!」
私が何度も頭を下げるのを見て、くすくすと笑い出す聖子さん。
聖子さんは「しょうこ」って読むんだって。
よく漢字を見て、「せいこ」だと間違われるんだ~って言いながら、手際よく私に着替えの服を用意してくれた。
渡された服を見て、私はここに一生隆介が来ないことを祈った。
どう言えば伝わるんだろう…この色。
ゴミ袋の青の色。
ポリバケツの青の色。
あの色…
そんな上下繋がった制服を渡され、私は早く一人前になろうと決心した。
だって、聖子さんは黒の上下の作業服なんだけど、首にスカーフなんて巻いててとてもお洒落だった。
このブルーの制服を着こなす自信はない。