それから、隆介はお父さんとお父さんの新しい彼女と暮らし始めた。


隆介の冷たい態度や偉そうな口調の訳がわかったような気がした。



お父さんは優しかった。

その彼女も優しい人だった。



だけど、お母さんの代わりは・・・どこにもいないんだ。



さよならも言わずに家を出たお母さんに、「裏切られた」と隆介は思った。


誰でもそう思う。



いくら、心の中で今でも隆介を愛していたとしても・・・

言わないと伝わらない。


「女は、どうも信じられない。」

隆介は、私の手を握り直す。



人間不信になりそうになった隆介を救ってくれたのは近所に住む幼なじみのお姉さんだった。


2つか3つ年上のそのお姉さんにいつの間にか恋心を抱いていたんだって。


だけど、隆介が高校に入学した頃、彼女は遠くの学校へ行ってしまった。


何かの専門学校へ行くと言い、また隆介の大事な人が去って行った。