また運命だ…なんて思っちゃう私は、きっと空のお父さんに笑われてる。
突然部屋から消えた私を追いかけた隆介は、やはり泣いていた。
隆介は、絞り出すように語ってくれた。
小学生の頃…突然お母さんが消えた。
さっきの私のように…
隆介がTVを見ている時、気付くとお母さんはいなかった。
お父さんとお母さんが離婚するかも知れないという話は聞いていた。
子供ながらにクールだった隆介は
「勝手にすれば?」
と強がった。
そして、一人のベッドの中で泣いていた。
「隆ちゃんは、どっちと暮らしたい?」
そんな質問をまだ10歳の子供に投げかけるなんて、残酷すぎる。
どっちも選べない。
それも隆介の優しさ。
本当はお母さんと暮らしたかったのかも知れないと隆介は涙ぐんだ。
どっちも選ばなければ、別れないんじゃないか・・・
そんなかすかな望みを抱いていた。
毎晩ケンカする声が眠りを妨げた。
いつか、仲良くなると信じてた・・・
隆介はそう言いながら、私の手を両手で包む。
10歳の隆介を抱きしめてあげたい気持ちになった。
隆介は私の肩に頭を乗せた。
Sな隆介が私を頼ってくれていることが信じられなくて…
こっそり頭を撫でる。
拒否することなく、頭を撫でられている隆介は、私のぬくもりとお母さんのぬくもりを重ねていたのかもしれない。