壁のお洒落な時計がもう10時を示していた。
隆介が人間なんだ…って感じられた1時間だった。
当たり前だけど…
隆介が気持ちを込めて話す横顔に、今まで感じたことのない感情が生まれる。
いつも私ばかりドキドキしてて、隆介は動揺したりムキになったりしない。
私を手のひらに乗せて笑って見ているような、隆介だった。
でもね…
今日の隆介はほんとに人間らしかった。
話の途中で、涙ぐんだり…
握った手からたくさんの隆介が見えたんだ。
隆介のこと、最初に会ったときから好きだったよ。
だけど、今はもっともっと好き。
好き・・・以上・・・
これが『愛』かも知れない。
話し終わった隆介を初めて私が抱きしめた。
黙って、私に抱かれてる隆介は私の知ってる今までの隆介じゃなかった。
隆介はどこから見ても完璧で、
隆介に狙われたら落ちない女の子はいないんじゃないかって思う。
かっこよくて、クールで落ち着いていて…
だけど、私はそんな見える部分を好きになったんじゃない。
隆介の心の奥の優しさ、人の痛みのわかる隆介が好きなんだよ。