「着いたぞ!」
目を閉じていた私は、隆介の声にハッとして目を開けた。
そこに広がる光景を…
私は 信じられない想いで見つめた。
青いツリー。
大きなツリーの向こうに広がる海。
後ろには、大きな橋…
間違いない。
いつか
大好きなお父さんと来た、思い出の場所。
「美亜・・・ちょっとここで待ってろ!」
走り出した隆介の後ろ姿を見つめていると、懐かしい匂いがした。
もう一度、ツリーを見上げる。
青と白のキラキラした電飾に、金色の星。
下から見上げると、ツリーの中に入ってしまったかのような美しさ。
甦る…
昔の記憶・・・
昔の時間。
『美亜、すごいぞ~ここから見てみろ!綺麗だぞ!』
『うわぁ!お父さん、すごいね、すごいね。ツリーの中に美亜が入ってるみたい』
『そうだろ?また、来年も来ような。こっそり2人で毎年ここに来よう!』