いつもだけど、隆介は行き先を言わない。
黙って、隆介の背中にしがみついてると…
素敵な場所に到着してるんだ。
あんたは魔術師。
あんたはマジシャン。
私の心をHAPPYにする魔法を無数に持ってるんだ。
信号で止まる。
「メリークリスマス」
隆介は、そう呟いてまたバイクを走らせる。
道路わきの家々はクリスマスのイルミネーションで輝いていた。
ケーキ屋さんの前には、行列ができていた。
その中を走り抜けながら、私はますます隆介を愛していく。
温かい背中。
優しい手。
いろんなことがあったけど、
私は一度も迷わなかった。
私が好きなのは、隆介だけだった。
たとえ、隆介が私を必要としなくても私は隆介を愛し続けようと思った。
鈴子の登場も、私にとっては大きな試練だったけど、そのおかげで自分の気持ちはより大きくなった。
隆介はS。
いじわるな隆介。
その中には
びっくりするくらいの『優しさ』や『思いやり』・・・『愛』が溢れてたんだ。