2人きりにしてあげたくて、席を立とうとしたら2人ともが引き止めた。
「ここにいてもらえる?」
「いいって!お前のおかげなんだからお前はそこに座ってろ!」
私は、運ばれたパスタを何度もフォークに巻きつけながら、緊張しながら話を聞いていた。
生ハムとバジルのオイルパスタを選んだ隆介を見て、お母さんは目頭を押さえた。
「私と同じ好みね」って。
隆介が私に偉そうに何かを言うたびに、お母さんは隆介を睨んで「こら!」って怒っていた。
女の子には優しくしなさいって。
私は、「隆介君は、すごく優しいです」と緊張で震えながら言った。
隆介は、鼻で笑って、私の頭を突付いた。
「こいつ、いじめられんの好きなんだよ。くくく」
お母さんは呆れたように、ため息をついた。
「私のせいね・・・隆介がこんなにひねくれちゃったのは・・・ごめんね、美亜ちゃん。」
お母さんが私の手を握ってくれた。
私は、揺れるキャンドルの炎を見つめすぎていたせいで、お母さんの顔がよく見えなかった。
握られた手の温もりが、隆介と同じだったことが嬉しかった。
窓の外の雪は
もう見えなくなっていた。
綺麗な星空が見えて、隆介は、空に向かって小さく頷いた。
「美亜、サンキュ・・・」