「隆介…」



顔よりも先に声で、隆介はその人が誰であるか理解した。



テーブルに置かれたキャンドルの炎が、ゆらゆらと揺れた。


2人の間に流れる不思議な空気に驚いているかのように、激しく揺れる炎を私はじっと見つめた。



「母さん…? 母さん… 」



私は動くことができなかった。


私は少し離れた場所からじっと見ていた。



一歩ずつお母さんに近づいていく隆介の背中は、

昔の隆介に戻っていた。