私のオレンジ色のバッグの中には、 ずっと渡せなかったお揃いの2つの時計。 その2つの時計は、 これから出会う2人の為に大事に大事に針を進める。 「新しくできたお店に行きたいの!ケーキが美味しいって雑誌に載ってたから!」 寒いわりにいつも手が温かい隆介。 その温かい手を強引に引っ張って、少し早足で歩く。 ドキドキが最高潮に達していた。 心の準備がなかなか出来なくて、店の前に飾られたツリーを見るフリをした。