帰りのバイクで…信号で止まった時に、隆介の背中に向かって言った。



「昔ね、あんなツリーを見たことがあるんだ。」


「あ…そ。」


そっけない返事はもう慣れっこ。



でもね、知ってるんだ。



「昔ね、お父さんと見た気がするんだ。あれとそっくりなツリーを…」


私が夜空を見上げながらそう言うと、隆介は青になった信号を見て…


少し走ってすぐにスピードを緩めた。



側道にバイクを停めて…


「さっき、何て?父さんとツリー見たって?」


夜空に今日も輝く星を見ながら…隆介は聞くんだ。




『お父さん』って言葉を出すと、ほっとけないんでしょ。


知ってるよ。


誰よりも優しい隆介…


誰よりも私の気持ちをわかってくれてる。


ちゃんと 私の中にいる『お父さん』を信じてくれて、尊敬してくれて…



そんな隆介だから


私はどんどん好きになっちゃうんだよ…