「もしもし・・・」
ひっそりとしたこの場所は、携帯からの声が漏れてはっきりと聞こえた。
それは、今まで何度も聖子さんから話を聞いていた人の声。
…きっと、『弘人』だ。
私は、席を立ち、自動販売機で温かいミルクティーを2つ買った。
当たりつきだというその自動販売機は、動きがとても遅かった。
赤いランプが止まったらもう1本、と書かれてあった。
そのランプをじっと見つめていた。
耳は、聖子さんの方に集中していた。
ピコーンピコーン!オメデトウ!
え?
変な機械の声が私を驚かせた。
2本目のミルクティーを買ったときに、当たってしまったようだ。
それなら1本目で当たれば良かったのに…
なんて考えながら、3本目もミルクティーを選んだ。
聖子さんが好きだから。
聖子さんといる時間は、ミルクティーが飲みたくなる。
隆介と一緒にいる時間は、コーヒーが一番好き。
私は3本の熱い缶を持ちながら、聖子さんに近付いた。
まだ電話が終わっていないようだったので、ミルクティーを手渡して、またその場を離れた。